エナーテックで製造していたコンクリート埋設専用の『スラブヒーター』は20年以上の販売期間の間に相当の改良を重ねて製造していました。交換のきかない住宅の基礎に埋設するヒーターですから、頻繁に絶縁不良をおこすようなものを販売していたら即会社の存続問題だったので当然です。
なので『スラブヒーター』自体はコンクリートに直接埋設しても差し支えのない製品だったのだろうと、社員ではなくなった今でも思います。
ただ、何らかの影響でスラブヒーターの絶縁が悪くなってしまったお客様のお宅は現実的にはありました。
対処法です。
スラブヒーターの施工に関わった方でしたら一度は見たことがある画像だと思います。
ピンク色が5時間通電型、薄緑が8時間マイコン型の資料です。
このマニュアルの通りの施工になっていれば、スラブヒーターに絶縁不良が起こった場合、落ちるブレーカーは各回路の子ブレーカーのELBだと思います。(それぞれの『2.電源』の系統図のELB(30A)と描いてある部分です)
ブレーカーが落ちてしまうなど、電気的なトラブルの場合はまずは施工がマニュアル通りになっているか確認してください。
夜間電力蓄熱機器の場合、使用するケーブルの径やブレーカー容量などは『電気容量の1.25倍に耐えられるものにする』というような記述が「内線規定」に記載されています。
なので例えば、ヒーター敷設図を確認した際にその回路のヒーター容量が3.5kwだったけどELBに20Aが使用されている…これは基本的にはアウトのはずです。ただ、各電力会社さんの判断やそのお宅の状況によって、適切な判断の元でそうなっている場合も無いとは言えません。ご心配な場合は担当の電力会社で確認してみてください。
次にブレーカーが落ちてしまう回路の絶縁抵抗値をメガーで計測します。
この段階ではコントローラーの前面パネルを開け、該当回路のヒーターに繋がるVVF2.6を端子から外して計測してください。
絶縁が悪い事が確認出来た場合、床下に潜り該当回路のジョイントボックスを探します。
ジョイントボックスの中の結線部を外し、今度は各ヒーター一本一本の絶縁を計ります。
絶縁不良を起こしているヒーターが特定出来たら、そのヒーター以外を再度元のようにジョイントし直してください。
これで不良ヒーターのみ切り離すことで、回路自体は生かすことができます。
スラブヒーターのシステムは、1つの『主幹のサーキットブレーカー』に回路の数だけある分岐の子ブレーカー(ELB)があり、そのそれぞれに複数のヒーターがぶら下がる配線系統になるので、どれか1つのヒーターが絶縁不良を起こすだけでその回路の他のヒーターまでELBで遮断されてしまいます。すくなくとも上に書いた対処をする事で、正常なヒーターは生かすことができます。
まれに主幹の方にELBを使用し、子ブレーカーにサーキットという現場を見ましたが、その配線ですと1つのヒーターがダメになっただけで家じゅう全部のヒーターが止まります。色々事情があったんだとは思いますが、その場合は特に対処を早めにお願いします。
本来でしたら不良を起こして電気的には切り離したヒーターを何とかしたいところですが、コンクリートに埋設してあるものなので交換はできません。
エナーテック時代の対処は、不良ヒーターが埋まっている部分のコンクリート表面に同じ型番のヒーターを並べ、モルタル等を50mm程度かぶせて埋設して配線だけ繋ぎ換えていました。
スラブヒーターと同じような使い方が出来るヒーターが他に存在するのか僕は今のところ知りませんが、もしもそんなものが手に入るとすれば同じ対応が出来るかもしれません。
はじめまして
返信削除類似した現象が起きているので、ご相談させていただければと思います。
現象は、大元のブレーカーが落ちます。
ヒーターがONしてからどれくらいで落ちるかはわかりませんが
次の日の朝はブレーカーがおちている状態です。
電気工事業者がきてみてもらいましたが原因がわからないの一点張りです。
非常に困っているので、アドバイスをいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
6つのブレーカーをひとつづつ切って確認したところ
ある一つのブレーカーをオフにすると大元が切れないところまで確認しています。
お困りだと思います。
返信削除ただ、この記事の内容が恐らくそのまま当てはまる現象かと思われます。
絶縁不良のヒーターを特定し、切り離す事で当面の対処が出来るはずですので、建築された会社さんにご相談してみてください。