今は無き、夜間電力利用の電気蓄熱式全館暖房システムのメーカー『エナーテック株式会社』の元社員が少々の心残りを感じてブログを立ち上げてみました。
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2016年3月6日日曜日

スラブヒーターでブレーカーが落ちた時

まれに「寒いんです」というクレームを受けてお客様宅に伺うとブレーカーが落ちていた…なんてケースがありました。

エナーテックで製造していたコンクリート埋設専用の『スラブヒーター』は20年以上の販売期間の間に相当の改良を重ねて製造していました。交換のきかない住宅の基礎に埋設するヒーターですから、頻繁に絶縁不良をおこすようなものを販売していたら即会社の存続問題だったので当然です。
なので『スラブヒーター』自体はコンクリートに直接埋設しても差し支えのない製品だったのだろうと、社員ではなくなった今でも思います。

ただ、何らかの影響でスラブヒーターの絶縁が悪くなってしまったお客様のお宅は現実的にはありました。


対処法です。



スラブヒーターの施工に関わった方でしたら一度は見たことがある画像だと思います。
ピンク色が5時間通電型、薄緑が8時間マイコン型の資料です。

このマニュアルの通りの施工になっていれば、スラブヒーターに絶縁不良が起こった場合、落ちるブレーカーは各回路の子ブレーカーのELBだと思います。(それぞれの『2.電源』の系統図のELB(30A)と描いてある部分です)


ブレーカーが落ちてしまうなど、電気的なトラブルの場合はまずは施工がマニュアル通りになっているか確認してください。


夜間電力蓄熱機器の場合、使用するケーブルの径やブレーカー容量などは『電気容量の1.25倍に耐えられるものにする』というような記述が「内線規定」に記載されています。
なので例えば、ヒーター敷設図を確認した際にその回路のヒーター容量が3.5kwだったけどELBに20Aが使用されている…これは基本的にはアウトのはずです。ただ、各電力会社さんの判断やそのお宅の状況によって、適切な判断の元でそうなっている場合も無いとは言えません。ご心配な場合は担当の電力会社で確認してみてください。


次にブレーカーが落ちてしまう回路の絶縁抵抗値をメガーで計測します。
この段階ではコントローラーの前面パネルを開け、該当回路のヒーターに繋がるVVF2.6を端子から外して計測してください。

絶縁が悪い事が確認出来た場合、床下に潜り該当回路のジョイントボックスを探します。



ジョイントボックスの中の結線部を外し、今度は各ヒーター一本一本の絶縁を計ります。

絶縁不良を起こしているヒーターが特定出来たら、そのヒーター以外を再度元のようにジョイントし直してください。


これで不良ヒーターのみ切り離すことで、回路自体は生かすことができます。


スラブヒーターのシステムは、1つの『主幹のサーキットブレーカー』に回路の数だけある分岐の子ブレーカー(ELB)があり、そのそれぞれに複数のヒーターがぶら下がる配線系統になるので、どれか1つのヒーターが絶縁不良を起こすだけでその回路の他のヒーターまでELBで遮断されてしまいます。すくなくとも上に書いた対処をする事で、正常なヒーターは生かすことができます。

まれに主幹の方にELBを使用し、子ブレーカーにサーキットという現場を見ましたが、その配線ですと1つのヒーターがダメになっただけで家じゅう全部のヒーターが止まります。色々事情があったんだとは思いますが、その場合は特に対処を早めにお願いします。



本来でしたら不良を起こして電気的には切り離したヒーターを何とかしたいところですが、コンクリートに埋設してあるものなので交換はできません。


エナーテック時代の対処は、不良ヒーターが埋まっている部分のコンクリート表面に同じ型番のヒーターを並べ、モルタル等を50mm程度かぶせて埋設して配線だけ繋ぎ換えていました。

スラブヒーターと同じような使い方が出来るヒーターが他に存在するのか僕は今のところ知りませんが、もしもそんなものが手に入るとすれば同じ対応が出来るかもしれません。












2016年3月5日土曜日

スラブヒーターコントローラーの点検ランプ点灯③

スラブヒーターの点検ランプの点灯の原因はいくつかあるという事は以前の記事に書きました。
主には以下の3つです。


・温度センサーの不良
・基盤の不良
・過昇


今回は3つ目の『過昇』で点灯している場合です。


1部屋だけなぜかとても熱い、床下の温度を計ってみると1回路だけありえない温度だった…なんて事がまれにありました。


正常な状態であれば、温度調節範囲はEACコントローラーで0~50℃、EMCコントローラーで0~40℃です。
それがEACの場合55℃、EMCの場合45℃を感知すると点検ランプが点灯します。


では、なぜ必要以上にコンクリートが熱くなるのか…。



最初に可能性として調べてほしいのは『回路ごとの配線の繋ぎこみが入れ違ってはいないだろうか?』です。


例えば床下で、本来はA回路のセンサー保護管に挿入されるはずの温度センサーがB回路の保護管に入っている。B回路のセンサーがA回路の保護管に入っている…という状況の場合です。

この場合、温めている回路とは違うところの温度を検知している状況なので当然動作はおかしな事になります。




配線の間違いが無い事が確認できた場合、恐らくは基盤不良だと思います。
特に他回路にも冷たいものは無いのに、1回路だけ熱くなってしまっている場合は十中八九間違いないです。

これは基盤に組み込まれているリレーの中で接点不良を起こしており、電気が常にヒーターに強制的に送られてしまう状態になると起こります。

EACコントローラーの場合、電力会社のタイムスイッチによって夜間の1:00~6:00しか電気が来ないので、仮に基盤の接点不良が起こってもコンクリートが熱くなる程まではほとんどの場合いきません。
ところがEMCコントローラーの場合、通電のオンオフはコントローラーで行っているので接点不良が起こると24時間ずっと温め続けることになります。


これが確認出来たら、基盤交換をしなくてはなりません。


このブログにも書きましたが、ネイビープラスの高橋さんという方に連絡をとり基盤を仕入れてください。

2016年2月21日日曜日

スラブヒーター8時間マイコン制御型のメンテナンス①

EMCコントローラーのタイプです。コントローラーに時計がついているので見分けはつきやすいと思います。

このタイプは常時電気は送られてきていて、コントローラー内蔵のマイコンで制御しています。

このマイコンは毎日決まった時刻に各回路の温度を記録していて、
『AM6:30に設定温度にする為に各回路が何分通電が必要なのか毎日判断して順次電源を入れていく』という動作をします。その日の気温の様子や設定温度等の要素で通電時間に誤差が出る事もありますが、基本的に毎日やっている事はこういうことです。


そして、何らかの不具合が出た時にこのマイコンが記録しているデータを読む事である程度状況を推測する事が出来ます。

各回路の基板にデータを読む為のボタンがついています。例えば『B回路がなぜか温まらない』なんて時に以下の手順で確認してみてください。



コントローラーを開けて中の基盤を露出させます。

上の画像の赤丸をつけたあたりに黒い小さなボタンがあります。このボタンを押すたびにB回路の記憶している各種データを見る事ができます。(データは時計部分に表示されます)



1-○○  現在、温度センサーで感知している温度は○○℃
2
3-○○  昨夜20:00に感知していた温度
4-○○  昨夜23:00に感知していた温度
5
6-○○  蓄熱開始時に感知していた温度
7○○○  蓄熱時間(分)
8-○○  蓄熱終了時に感知していた温度
9       温度センサーの状態          000 →正常
                              E01 →センサー無しor断線
                              E02 →センサーショート
                              E03 →過昇


今現在のコンクリート温度を放射温度計で測定し、コントローラーのデータと比較してみてください。


例えば…

現在時刻 AM10:00
コントローラーの設定温度 35℃
実際のコンクリート温度  22℃
コントローラーのデータが
1-34
3-28
4-27
6-27
7240
8-35
9000

だったとします。コントローラーのデータ的にははとても正常に動いているのに、実際のコンクリート温度とはあまりにも乖離しています。
ここから『温度の感知状況に問題がありそうだな』なんて予測が立ちます。
ひとつの端子にセンサーが2本接続されていたなんて場合はこんな数字になると思います。


もうひとつ例を…

現在時刻  AM10:00
コントローラーの設定温度40℃
実際のコンクリート温度 22℃
コントローラーのデータ
1-23
3-19
4-18
6-18
7480
8-24
9000

この場合、通電時間が480分(=8時間つまり深夜時間めいっぱいのフル通電)の割に温度の上昇も少なく、コンクリートも冷えています。
ここから『床下を冷やしている何らかの問題はないか?』なんて予測して、床下に潜って気流の有無を調べてみるなんていう作業になります。
例えば、換気のダクトがユニットバスの天井裏付近で外れていて、冷気が壁の中を伝って床下に落ちていた…なんていう事例がありました。





2016年2月14日日曜日

スラブヒーター5時間型のメンテナンス②

点検ランプ点灯の原因で一番多いのが温度センサー不良です。

温度センサーが疑わしい事が分かったら、いよいよコントローラーを開けます。
(必ずブレーカーを一旦落としてから作業するようにしてください。)

コントローラー前面パネルの四隅のビスを外します。
外した後ですが、下の画像のように二本のビスを使って仮止めしておくと作業がしやすいです。




温度センサーは中の基盤の一番下に繋がっています。
例えばE回路の点検ランプが点灯している場合、下の画像だと赤丸をつけた部分の端子に繋がっているはずです。



ここのビスを緩め、繋がっている温度センサーを外します。
この時、端子から外したセンサー線はどこか邪魔にならない場所にテープ等で仮止めしておいてください。プラプラさせたまま他の作業していると、場合によって配線ごと壁の中に落ちていってしまう事があり、もしもそんな事態になると電気屋さんに電話してケーブルキャッチャーなどで救出してもらわないとその先の作業ができません。泣けます。

センサーを外したら、他の正常なセンサーを繋げてみてください。
もし新品のセンサーを現場に持参していたらそれを繋いでみれば良いですし、そうでなければ隣の回路のセンサーを外して使っても結構です。

正常なセンサーを繋いでみて、ブレーカーをONにします。これで点検ランプが消えていれば温度センサーの不良と確認できた事になります。

再度ブレーカーを落とし、配線を元に戻してください。





次は温度センサーの交換です。

温度センサーは15mの配線がついていますが、配線ごと新品に交換しようとすると大変な作業です。
ほとんどの場合、センサーの故障は床下側の先端部で起こりますのでそこだけ交換してください。

床下に潜っていって該当回路の温度センサー保護管からセンサーを引き抜き、先端から1m程度のところでカット。新品のセンサーも同様に先端から1mの場所をカットし、圧着処理等で繋ぎ換えてください。


保護管にセンサーを戻し、ブレーカーを再度ONにしてみて点検ランプが消えていればOKです。


※もしもテスターをお持ちでしたら、床下に潜る前に不良温度センサーの端子部で抵抗値を測ってみてください。抵抗値の数値が0Ωの場合、センサー線がどこかで切断されています。その場合は新品のセンサーを15mの配線ごと交換する必要があります。








2016年2月10日水曜日

スラブヒーター5時間通電型のメンテナンス①

前回の投稿でも書いたとおり、電力会社さんに現場に来てもらって日中の強制通電をしてもらうと点検ランプの点灯回路を確認する事ができます。

まずは、なぜランプが点灯したのかを確認しなくてはなりません。

作業としては以下の順番で行うと良いと思います。

①施主様宅の『ヒーター敷設図(下のような図面)』を確認しつつ、各回路のコンクリートの温度を確認し、異常に熱かったり冷たかったりする回路がどこなのかを確認する。




点検ランプの点いている回路のコンクリート温度が低い場合 → 温度センサーの不良の可能性あり

点検ランプの点いていない回路のコンクリート温度が低い場合 → 配線ミスの可能性

点検ランプの点いている回路のコンクリート温度が異常に高い場合 → 基盤不良の可能性

点検ランプの点いていない回路が異常に高い場合 → 配線ミスの可能性



ここまでで分かるのは、あくまでも可能性なのでまだ確定ではありません。


ちなみにコンクリート温度を測るのに、放射温度計を用意しておくと便利です。






2016年2月8日月曜日

スラブヒーターコントローラーの点検ランプ点灯②

①のEACコントローラーの場合、メンテナンス時には管轄の電力会社に協力をお願いする必要があります。

なぜなら、EACを使用する時間帯別電灯契約の5時間通電型の場合、電力会社が設置するタイムスイッチで日中はスラブヒーターへの電源が完全に遮断されているからです。
あらかじめ電力会社の担当支店に電話して、
・施主名
・施主の住所
・エナーテックの5時間通電機器をメンテナンスに行く旨
・通電希望時刻
を伝えると、電力会社の社員さんが来てくれて日中でも電気を送ってくれます。


作業後に点検ランプがもう点灯しない事を確認しなくてはなりませんので、必ず電力会社さんには連絡を入れてください。特に費用の請求などは無いはずです。


また、電気工事店さんなどプロの方が作業されるとは思いますが、くれぐれも作業中は主幹ブレーカーを落としたうえで安全に作業をお願いします。

具体的な作業については後日書きたいと思います。








スラブヒーターコントローラーの『点検』ランプ点灯①


スラブヒーターのコントローラー、こんなやつです。

コントローラーには大きく分けて2種類あって

①5時間通電用(ほとんどが型番がEAC-5○○のもの)
②8時間マイコン制御用(型番がEMC-8○○)

です。

①の場合、異常があっても点検ランプは夜間(ほとんどの場合AM1時~6時)しか点灯しません。
②の場合は異常があれば常時点灯します。

で、点検ランプが点灯する原因ですが、

・温度センサー線の断線
・温度センサーの温度感知部の故障
・土間コンクリート温度の過熱(EACは55℃以上、EMCは45℃以上を感知で点灯)
・コントローラー内臓の基盤の故障

のどれかです。

点検ランプの点灯中は、該当回路はヒーターに電気が送られていませんので暖房が効きません。

ただ、たまに1つ点検が点灯したのを見て漏電などを疑って主幹のブレーカーごと切ってしまう方がいますが、漏電の場合はブレーカーが落ちます。
したがって、点検ランプが点灯していない回路は基本的に問題ありませんので使用しても大丈夫です。