今は無き、夜間電力利用の電気蓄熱式全館暖房システムのメーカー『エナーテック株式会社』の元社員が少々の心残りを感じてブログを立ち上げてみました。

2016年12月25日日曜日

『スラブヒーター使ってるんだけど寒いんだけど!』というクレームの時②

調べてみて、どうもコントローラーの不良ではない。床下も温まっている。
それなのにリビングが寒い・・・そんなケースのクレームの対処をしたことも何度かあります。
同様のクレームを受けた方も少なくないのではないでしょうか?

その建物はリビング階段になっていませんか?

スラブヒーターは床下の土間コンクリートをほぼ均一に30~40℃程度にあたため、面で建物を温める暖房です。その為、断熱的には一番不利な窓際で発生する冷気で窓際の床を冷やされてしまう事を防ぐためガラリをつけています。

ところがリビングに直接階段が接続しているリビング階段の建物の場合、2階を暖房していないと建物全体で見た時に下に暖かい空気があり、上に冷たい空気があるという物理的に不自然なかたちになります。当然、暖かい空気は2階に上がろうとしますし、冷たい空気は下りてきます。
1階と2階をつなぐところ、つまり階段の足元を2階の冷気が流れ落ちてくる現象が起こります。

リビングの上が吹き抜けになっていて2階部分も遮る物のない空間、なおかつリビング階段の場合じつにスムーズに空気の移動が起こるので更にリビングが温まらないことになります。
(1階で空気が多少温まる→軽くなるので2階に向けて上がっていく→2階は寒いので冷やされる→重くなるので下りやすいところから下りていく→階段を通って1階に戻る)

お施主様はリビングを暖かくしたいので、スラブヒーターの設定をどんどん上げたり、リビングでエアコンなど他の暖房器具と併用したりされた方が多くいました。


対処としては1階と2階の温度差を小さくする事です。
なので、階段を上がったところにある廊下などのスペースを他の熱源で温める事で緩和する事が出来ます。

もしもサーモカメラをお持ちでしたら、是非撮影してみてください。

自然対流は身体に感じにくいので、視覚的に見ていただくのが一番です。



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